映画で観る第一次大戦(2)

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前回は「第一次大戦のロマン」を描いた作品を集めたのですが、今回は現実的というか、シリアスなものを。
前回:映画で観る第一次大戦(1)


■西部戦線異常なし

<内容>
映画史に残るアメリカ戦争映画の名作。第1次大戦がはじまってまもない、ドイツのある町。群衆の歓声に送られて、戦場へ向かう大部隊が進軍してゆく。学校
の教室では、老教師が生徒に愛国心を説いていた。情熱に駆り立てられた若者たちは、ただちに出征を志願するが、前線は飢えと死の恐怖だけの毎日だった……。数度に渡って繰り広げられる戦闘シーン、全編を貫く戦争批判とヒューマニズム、本作はその迫力とスケールの大きさからいってまさに歴史に残る戦争映画の名作である。(原文
第一次大戦といえばこれ。
この時代というのは、国民が良くも悪くも国家と自分を重ね合わせていました。
ですから開戦となれば、多くの若者が自ら率先して志願し、戦場に赴いたわけです。
しかしあまりに悲惨で、しかもそれが報われない現実を前にして、一体誰のために戦っているのか、そしてなぜ国のために死なねばならないのか判らなくなっていきます。
まさに戦争映画のスタンダードたる傑作だと思います。


■A Time Of War 戦場の十字架

<内容>
時は第一次世界大戦の最中。フランスの戦場で体と心に傷を負いカルガリーへ戻ってきたマイケル・ダン軍曹は陸軍病院で従軍看護師のサラ・マンと出会う。
二人はやがて恋に落ちるのだが、サラの弟デヴィッドは彼らの父親の裏切り行為の名誉を晴らすため、喘息持ちであることを隠して兵隊に志願してしまう…。
第3次イープル会戦(パッシェンデールの戦い。1917年7月~11月)が舞台。
ベルギーのパッシェンデール村は埋め立てられた沼沢地で、さらに準備砲撃と大雨によって戦場が通行不能な底なし沼となり、大戦有数の過酷な戦場となりました。


■愛と裏切りの戦場 ~アルプスの勇士たち~

<内容>
1917年、イタリアは敵国オーストリア=ハンガリー帝国と熾烈な戦闘を繰り広げていた。
そんな中、上官や部下を失い意気消沈するイタリア軍のパッリ軍曹と、従軍看護師として戦地へ赴いた伯爵令嬢アルベルティーナは運命の出会いをはたす。身分違いの愛を交わす2人。
しかし、パッリの上官であるアヴォガドロ大尉もまたアルベルティーナを我が物にしようと画策していた。やがて戦況は激しさを増し、敵軍の攻勢によって陣地撤退を余儀なくされる。
形勢逆転を模索するイタリア軍に対し、パッリは敵陣拠点への一斉攻撃に際して地下にトンネルを掘り、一気に攻め入る作戦を提案する。敵陣攻略に向けてトンネル掘削作業は順調に進み、いよいよ敵基地に潜入したパッリたちに思いがけぬ事態が待ち受けていた!(原文
イタリアは元々ドイツ・オーストリアと三国同盟を結んでいました。
しかしトリエステ=フィウメ地区の領土問題で仲違いし、大戦でイタリアは連合黒側にたって参戦しています。
両軍の戦いは主に「アルプス戦線」と呼ばれ、カポレットーでイタリアは完敗するんですけど、最終的には二重帝国側が降伏して決着しています。


■ザ・トレンチ<塹壕>

<内容>
第一次大戦中に起こった、20世紀最大の愚行と呼ばれる〈ソンムの戦い〉。本作は、2日間で6万人の命を奪ったこの悲劇の前夜48時間を、戦闘に参加した青年兵士たちの眼を通して描いた、感動のヒューマン・ドラマである。(原文
「ロング・エンゲージメント」で取り上げていた「ソンムの戦い」(1916年7月1日~11月19日)をじっくり描いた作品。
日露戦争の旅順攻城戦で、日本軍は7ヶ月間に死傷者6万人を出します。
しかしソンム戦のイギリス軍は、たった1日で2万人の死者を出しました。しかも7月に亡くなった遺体を11月まで回収できなかったというくらいの激戦でした。


■マイ・ボーイ・ジャック

<内容>
激戦続く第一次世界大戦。17歳の青年ジャック(ダニエル・ラドクリフ)は、英国将校として部隊を率いて西部戦線へと出征する。厳格だが優しい父と、彼に無限の愛情を注ぐ母との幸せな家庭で育った彼は、環境が全く異なる毒ガスと銃弾飛び交う戦場で地獄を体験する。ある朝、突撃ラッパが鳴り響く中、彼の中隊に突撃命令が下る。数時間の激闘が終わり兵士たちは次々と傷つきながら塹壕へと引き上げてくるが、そこにジャックの姿はなかった…。(原文
ジャケットにも見える、口ひげにメガネの青年がダニエル・ラドクリフです。
ちなみに彼は、2012年よりクランクイン予定の「西部戦線異状なし」リメイク版に主演するそうです。


■ジョニーは戦場に行った

<内容>
戦場で両手、両足、耳、眼、口を失い、第1次世界大戦が終わってから15年近く生き続けたイギリス将校が実在したという事実をヒントに、ダルトン・トランボが1939年に発表した小説「ジョニーは銃をとった」を、トランボ自ら脚本・監督した反戦映画。なお1971年カンヌ映画祭審査員特別賞、日本でも72 年度芸術祭大賞を受賞した。(原文
最後はこれ。超重量級の重い作品。
以前イギリスで「落ち込む映画ランキング」というのがあって、ジョニーが入ってなくてびっくりしたんだが、本当に気の滅入る作品です。
トランボといえば、「ローマの休日」の脚本(制作当時は色々あって覆面作家)でも有名。
ローマの休日についてはこちらを