100年前の写真で見る 世界の民族衣装
- 2018.09.02
- レビュー
衣装を集めるだけなら今でもできるが、重要なのは「着こなせている」かどうか。
今から100年前は1910年代。第一次世界大戦の前後(1914〜1917)。
この大戦は、チャーチルが言う「戦争からきらめきと魔術的な美がついに奪い取られた」戦いだった。
逆に言えば、大戦の始まりにはまだ「アレキサンダーやシーザー やナポレオンが兵士達と共に危険を分かち合い、馬で戦場を駆け巡り、帝国の運命を決する」ような戦い方があった。
しかしこの戦いによって生まれた「大量殺戮」によって、それらは絶滅させられた。 このことは同時に、大量生産・大量消費の誕生でもあった。
しかしその只中にある当時は、まだ人々の服は均質化せず、都市部をのぞけば伝統がほぼ完全に残っていた。
人々は「民族」に明確な輪郭を求め、その意識を目に見える衣装として表現していた。 そこに、雑誌のために写真を撮るという行為がギリギリ間に合う幸運が重なった。貴重な本だと思う。
自分の知ってる文化と異なる文脈で洗練されたものって、ゾクゾクします。
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