映画『南極料理人』

昨日は映画の日だったので、『南極料理人』を観てきました。
最初から最後まで面白くて、とても幸せな気持ちで帰宅できる映画でした。
お話の舞台は、1997年南極観測隊、ドームふじ基地。
そこへ極地研の学者や、通信社、車輌メーカーからの出向者、医者を加えた8人の男たちがやってきます。
主人公は海上保安庁からやってきた、調理担当の西村(堺雅人)。
そして男たちの400日以上にわたる「単身赴任」が始まる、というものです。

冒頭いきなり、ひとりの男が基地を飛び出し、雪原を狂ったように駆けて行きます。
それを追いかける同僚男3名。
ついに逃げた男は捕まり、「どこにも逃げ場はない、おまえは俺たちの大切なメンバーなんだ、おまえ自身が強くならなきゃだめなんだよ!」と言って抱きしめられます。
おっ、深刻な話だな……と思っていると、ここから2時間笑いっぱなしの物語が展開されます。
サスペンスもなく、危険もなく、ただ8人の「男家族」の日常を映すだけ。
変なドラマは一切ありません。
誰かが行方不明になってみんなで決死の救出劇とか、謎のウイルス発生とか、吹雪に閉じ込められて発電機が故障とか、そんなの全くなし。
ただ8人が予定の仕事をこなして、ひたすら飯を食って、かぎられた環境で自分たちの楽しみを見つけるだけ。
お腹すいたよ、海老フライの気分だね、肉のかたまり食べたい、ラーメン食べたい、で2時間。
それなのに、とてつもなく面白い。

作中とくに言及しないのですが、画面の端にふと映る張り紙も面白い。
「雪はあるけど水はない」
「話しすぎは身の破滅」
「南極一眼鏡の似合う粋な男」
ここで読んでも面白くないが、作中のシチュエーションで目に入ってくると面白くってしょうがない。
「中国文化研究会の皆さん、もう少し静かにお願いします」
「西村くんは、ピーナッツの使い方が上手だよね」
「西村くん、これで本当に美味しくなるんだろうか?」
「あーあ、下の歯だったのに」
「おはようは?」
この辺も、どうってことない台詞なのに作中で聞くと笑ってしまう。
劇場内で笑いをかみ殺したりせず、あんなに観客みんなが笑う映画は久しぶりでした。
映画ラスト、トライアスロンとビーチバレーでまた爆笑。
そんなに映画は観てないが、今年観た中では一番面白い。
去年は『ダークナイト』で、今年は『南極料理人』。
原作は新潮社から出ている『面白南極料理人』というエッセイらしく、生瀬勝久が演じていた本さんなども実在の人物であるようです。
ではあの、KDDインマルサットオペレーターの清水さんも実在の人なんでしょうか?