最近観た映画

DVDですけど。
『フィリップ、君を愛してる!』

現在服役中である天才詐欺師、スティーブン・ラッセルの実話がベース。
スティーブン(ジム・キャリー)は刑務所内で、フィリップ・モリス(ユアン・マクレガー)に恋をする。
そしてあらゆる手立てを使ってアタックをかけ、フィリップと結ばれるのである。
ラブシーンはかなりどぎついが、2人に妙な清潔感があってイヤじゃない。
また本来男っぽい感じのユアンが、ここでは非常にかわいい。
映画としては、スティーブンのシャバでの詐欺師っぷりと、刑務所内での謀略ぶり、そして恋人に愛を伝えるために命を賭ける情熱ぶりが面白い。
「男の優しさは滑稽に通ずる」と言ったのは隆慶一郎だが、全編がそういうおかしさにあふれた良い作品だと思う。
やはり何事もエクストリームな人というのは、身近にいたら大変だろうが見ている分には最高に楽しい。
天才詐欺師になるには高速回転する機転と、それを押し通すクソ度胸が必須だなと改めて感じた。
「キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン」でディカプリオが演じていたアバネイル氏のように、こういう破綻した天才という存在を何か公的に活用する手だてはないものだろうか。
目的は正しいが手段が悪いという意味では政治家なんかいいと思うけど、当選するわけないか。


『ザ・ロード』

かったるい映画だった。
なんか、だらだらした話。再生速度1.5倍で観てもまだ遅い。
面白かった人にはごめんなさいだが、面白くないと思う人もいるのだと思って勘弁してほしい。
食糧がなくてどうしようもない未来世界なのだが、主人公の子供がずっとそこで生きてきたとは思えないようなきれい事ばかり言う。子供ってもっと空気読むものだと思うけどな。
で、お父さんは息子に、劇中何度も「他人に警戒しろ」と言い続ける。
なんせ食料がなく、人が人を食べまくっている状況なのである。
ところがラストシーンで、お父さんがそれまでに命を賭けて伝えてきたメッセージはまるっきり無視。
孤独になった息子は、初対面の家族にあっさりついていっちゃう。
映画的には「いかにもいい人たち」みたいな描写になってるが、さほど甘い世界ではあるまい。
私はこのラストシーンで、「あー、息子、確実にこの家族の『お弁当』にされるな」と思った。
10代の頃くらいなら感動できたのかなあ、という作品。


『9(ナイン)』

これも破綻した未来世界(ディストピア)の物語。
CGアニメとしてはよく動いている。
命を吹き込まれた9番目の人形である主人公は、同様のナンバーシリーズたちと出会い、そしてまあ色々冒険するわけだ。
ところがこの主人公、やることなすことの全てが仲間を死に追いやっていく。
基本的には主人公の浅はかな行動でトラブルが起き、仲間たちはそれを止めようとして次々に落命。
仲間はいろんなタイプがいて、ひとりだけ女。
これがまたよく働く女である。
しかし主人公は女以外のほぼ全員を犠牲者にして生き残り、「新しい世界は俺が守る!」とばかりに意気揚々と女を連れていくのである。
主人公に悪人の自覚があればまだ救われるが、こいつにそんなまともな思考はない。
「共に戦ったが、はしなくも自分たちだけが生き残ってしまった」みたいな顔をして平然としている。
ブラックユーモアのつもりだろうか。
それともアメリカではこういうのが良しとされるのか。ああ、やだやだ。
ところで日本ビクターが、トウモロコシのでんぷんを原料に使ったDVDを開発したそうである。
トウモロコシもこんな作品を収録させられるとあっては、芽吹くのを拒否するのではあるまいか。
地球温暖化とか言ってる折、こんなものを再生して電力を消費したことを私は恥じている。


『パリより愛をこめて』

たぶんフランスの「高倉健主演映画」という感じ。
ヨッ、待ってました!というか。
映画館でいうと、ポップコーンじゃなくて折詰弁当食べながら見たいというか。
お話には矛盾点というかおかしなところが多かったが、キャラ立ちが良かった。
レンタル屋で「5本1000円」みたいな割引があって、あと1本足りないなと言う時にちょうどいいと思います。ぜひ。


『パラノーマルアクティビティ』

……全然怖くねえぇーっ‼
こちとら怖がりたくてホラー映画を観ているというに、一秒たりとも怖くない。
この映画で怖がれる奴って、どんだけガラスのハートをしてるんだ?
ひと気のない夜道でヨコハマタイヤの看板見た時の方がまだ怖いわ。
■参照

夜道をこいつが転がってきたら、間違いなく失禁するであろう。