ハート・ロッカー
2004年夏。バグダッド郊外。
アメリカ軍爆弾処理班の若者3人の38日間の任務を描く。
明確で筋道だった物語はなく、「戦争モノ」というより「戦争」を描こうとしたのかな、というのが率直な感想。
通常、物語では「その現場に放り込まれた人間は、何を感じるか」が大きな焦点となる。
だから、普通は知らない仕事や場所というのは、それだけで魅力になる。
「現場」の最たるものが戦争で、そこに行った者にしか判らないことは多い上に、
戦場の中でも特定の地点・状況に入った者でないと判らないことばかり。
そして外部の者は、それを想像すらできない。
だから大抵は「人の生き死に」だけを考える。
しかしそれでは生き残った者が抱える問題が見えない。
私はイラクに行ったことはないので、本作が描くものがリアルかどうかは判らない。
が、ただ「生き残った者の問題」を抽象的な心理描写に頼らず、
「現場」を乾いた視線で描いたのは大したものだと思う。
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