iMac登場の頃

本棚から、なつかしい雑誌が出てきました。
Appleが初めてiMacを発表した直後の、「マックピープル(MacPeople)」臨時増刊です。
1998年9月1日号。

この当時、Appleはスピンドラー時代にめちゃくちゃになった生産ライン、開発ラインをギル・アメリオがなんとか立て直そうと四苦八苦して、そこへジョブズが戻ってはきたものの「Think Different.」という広告キャンペーンでなんとなく頑張ろうとしてるのかな、という時期でした。
それでAppleを乗っ取り返したジョブズが、華々しくiMacを発表するわけです。
こんなの時間的に見て、アメリオがスタートさせたプロジェクトじゃないの?と思うんですが、ぜーんぶ自分の手柄にしてしまうあたり、ジョブズというのは恐ろしいおっさんです。

マック関連の雑誌全てに言えることですが、伝統芸能のようにあらゆる手管を用いてAppleおよびMacを誉めまくります。
これが非常に楽しい。
iMacの饅頭マウスなんて、誌面では誉めまくりです。
ところがこんなに使いにくい代物はない。実際使ってた私が言うんだから間違いない。手首がつりそうになるマウスなんて、これくらいのものですよ。
ですからマック関連誌で「しばらく使えば馴染む」とか「大きな問題ではないだろう」などという文章がさりげなく書いてあったなら、それはライターか編集のひとかけらの良心というやつで、実際は「使いにくいんじゃ!!」という意味です。

いろんな人にiMacの印象を聞いてます。
みんなスゲースゲー欲しー欲しーって言ってるんですが、川崎和男大先生だけが「いらない、欲しくない、粗大ゴミ、バカ」と切って捨ててます。
編集部はどういうつもりで川崎先生に聞いたのでしょうか。
実は編集部にも含むところはあったのか、それとも誉めてくれるもんだとばかり思ってたのか。
いろいろ想像させられて面白いです。
で、川崎先生が根本的に何に怒ったかというと、iMacの筐体に使われているポリカーボネイト素材に怒ったわけです。
当時、ポリカーボネイトというのは原材料のビスフェノールAが内分泌攪乱化学物質(いわゆる環境ホルモン)じゃないかということで、注目を集めていました。
そんなものを、見た目キレーだっつって大量に使うなんて、てめえにはデザイナーとしての良心がないのかと。アホかと。
しかしその後、Appleはポリカーボネイトを使いまくります。

iMacが色を増やしてリニューアル。最後のブルーダルメシアン/フラワーパワーはさすがに迷走感たっぷりでしたが、それまでiMacは売れに売れてしまいました。

PowerMacG3とPowerMac G4Cube。
G3の方は当時毎日仕事で触れていましたが、まさに「ただのポリタンク」でした。
これをおちょくって、本物のポリタンクでPCを自作してた人とかいた記憶があります。
Cubeの方はいい感じでしたが、ひび割れとか「勝手に起動」とかで消えてしまいました。

G4になると、だいぶポリタンク感が消えてます。シネマディスプレイは衝撃的でした。

大福型iMacと、教育機関向けだったeMac。
ちょうどこの時期、デザインに使う書体がGaramondからMyriadに変わってます。

やっとポリカーボネイトから離れ、ステンレス素材に走り始めます(現在のAppleはアルミ大好き状態)。