映画『RED』

映画『RED』

昨日の2月1日、映画の日なので1000円で観てきた。
一番最後の回だったが、神戸国際松竹で客は割くらい。

見終わった瞬間、思わずつぶやいた感想は一言で「あー、面白かった」。
映画館で映画観た!という満足感といおうか。
話はおおざっぱだし、演出はB級っぽい。
あえて、真面目にふざけているといった作品で、俳優の持つパワーで画面を統制し、やっと成立している感じ。

ブルース力(りょく)、モーガン力、マルコヴィッチ力、といったところか。
そういう俳優力で持ってる映画であり、めんどくさいから役名じゃなくて俳優の名前で以下書く。
一応、役名はこっち。

  • ブルース・ウィリス    (フランク)
  • モーガン・フリーマン   (ジョー)
  • ヘレン・ミレン      (ヴィクトリア)
  • ジョン・マルコヴィッチ  (マーヴィン)
  • メアリー=ルイズ・パーカー(サラ)
  • カール・アーバン     (役名思い出せず)
  • ブライアン・コックス   (イヴァン)
  • リチャード・ドレイファス (A・ダニング)

主人公のブルース・ウィリスは、かつての凄腕CIA情報分析官。
要するにスパイだね。

ヒロインのメアリー=ルイズ・パーカーは役所?の年金係。
初登場のシーンだと「今回のヒロインは割と年くってるなー」という感じの肌質なんだけど、映画が進むにつれて若返っていた。

ラストシーンなんて絶対あれ、10才くらい若くなってたぞ。
モーガン・フリーマンは80才のガン患者で老人ホームにいる。

でも元々は……何やってたんだろ。敵の身元をいつのまにか探り当ててくる人。
この人は初めて観たのが『ドライビング・ミス・デイジー』の運転手で、『インビクタス』のマンデラ、『ダークナイト』のルーシャスといったように渋くて真面目な人の役が多いが、今回は軽めのスケベじじい。
モーガンはこっちが素に近い(笑)。

で、この手のチームアクションは、大抵いちばん美味しいところを紅一点が持って行く。この作品の場合はヘレン・ミレン。凄腕のスナイパーだったが、今は豪邸で花を活けて暮らしてる。
そんな優雅なマダムが、純白のドレス姿でマシンガンをドガガガガガとぶっ放せば、それだけで絵になる。

白いドレスでマシンガンを撃つ元スナイパーってどっかで見たなーと思ったが、たしか浦沢直樹の『パイナップルアーミー』にそんなのがいたな。
で、上の写真、ヘレンををサポートしているのが11年間LSDによる洗脳実験で頭がイッてしまったジョン・マルコヴィッチ。

この人(じゃなくてジョンが演じている役)は基本が妄想狂。
背後に人がいたら尾行者だと思うし、ヘリが飛んだら狙撃される!と大騒ぎする。
しかし、その妄想は時に正解に至る。
これをコンスピラシー・セオリー(陰謀史観)と言う。

そんなブルースたちのチームの前に立ちはだかるのが、CIAの若手。
ブレンダン・フレイザー、じゃなかった、カール・アーバン。

激太りしてたフレイザーが痩せたのかと思ってたら、違った。
途中、ブルースがCIAに侵入するんだが、何を思ったか意味もなく彼の部屋に突入。大乱闘して去っていく。

観客としては面白いながらも意味が判らないんだが、当の本人も台詞で「意味が判らん」みたいなことを言う。
なんじゃそりゃ。ははははは。
地味に一番力を発揮したと思ったのが、ブライアン・コックス。

この人誰だっけなーと思ってたんだが、『トロイ』でアガメムノンやってた人だ。
この人の出てくるシーンはほぼ全て、コントみたいな大ざっぱさ。
この人だから少々おかしくても「なんでやねん!」と笑っていられるが、下手な俳優だったら「(真顔で)はあー?」という感じになってしまい、とてもじゃないが画面が持たなかっただろう。
現に名優であるはずのリチャード・ドレイファスも軍需産業の黒幕として出てくる。

この人の場合、シナリオのおおざっぱさが彼の能力を超えてしまっていて、若干画面を抑え切れてない感があった。
というわけで全体としてはすごく面白かった。
ただ、以下は文句。

  • ミサイルランチャーの装填がおそすぎる。
  • ジョーはどうやって自分が死んだと偽装したんだ?
  • CIAの資料室、壁が発砲スチロールでできてるのか?
  • CIAというのは部屋でドッタンバッタンぶち壊しまくる大乱闘やっても、誰も見に来たりしないのか?

一番の問題は「字幕が雑」なこと。
ブルースとブライアンがロシア大使館で会談するんだけど、一箇所ロシア語?になってて、そこが訳されてない。
でもそこは何か重要(もしくは粋な)台詞っぽい。
それだけじゃなくて、そこかしこであからさまに字幕以上の台詞をしゃべってる。
意味を要約するのはいいとして、固有名詞もいくつか飛ばされてる感じがした。
DVDで吹き替え待ちだな、これは。
でも辛気くさい映画、暗い映画よりは、こういう作品こそ映画館で観るといいと思いますよ。
面白かったです。