禁則処理の快楽
今日は啓明学院で打ち合わせ。尾﨑八郎先生から依頼された本が、そろそろ完成間近。
今回は、原稿を書くだけでなく組版も全て自分で行った。
というのもこの1年で、割付作業を実践で学ばせてもらえる機会があり、版面を全て自分でコントロールしてみたくなったので。
おかげで文字・文・文節・段落・ページ・見開き・章と、全てにわたって「これがいちばん気持ち良い」という状態に調整してある。
たとえば今回、「ぶら下がり」「追い出し」「追い込み」はひとつもない。残らず全て排除した。
これらは通常、行頭に句読点が来ないようにするための処理だ。
追い込み……行全体で字間を詰めて句読点を行末におさめること。他の行に比べて1文字多くなるので字間が詰まって隣の行との間に段差ができる。
追い出し……追い込みとは逆に、句読点の前の1文字と一緒に次の行へ送ること。1文字少なくなるので、隣の行と字間が開いて密度が低くなる。
ぶら下がり……句読点を行の一番下にぶら下げてしまうこと。
また文頭に拗促音(「ゃ」「ゅ」「ょ」「っ」など)も来ないようにしている。
これらは、もちろん普段の原稿作成でもシミュレーションはできる。
しかし書くと同時に版面を作っていると妥協しなくていいので、結果は全く違う。
こんなことに気づく人はいないと思うので、これは自分だけのひそかな快楽ということです。
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