六本木ヒルズ「ジブリの大博覧会」
2時間の隙を見つけ、ダッシュで六本木ヒルズに行き「ジブリの大博覧会」に行ってきた。
改めて分かったことは、自分はジブリに関して好きなものは2つあるということ。それは「宮崎駿という人」と「ラピュタ」。ちなみにナウシカはコミックスが至高。
そして何より好きなのは宮崎駿本人。
僕はこの人の、理屈屋で怒りっぽくて自虐的で、でもすごく人なつっこくて、それでいて何もかもを諦めてるようにも見える、そんなおしゃべりが好きだ。宮崎駿の日常を追った映画『夢と狂気の王国』は、宮崎駿に関する作品では2番目に好きといえる。
じゃあ1番は何かと言えば、それは『天空の城ラピュタ』だ。
謎めいた古文書風のクレジットタイトル。
かつて栄華を極め、そして滅びた超古代文明。
スチームパンク。
鉱山で働く孤児の少年。ブリキ缶に入れてもらう肉だんご。
力強く優しい親方。空から降ってくる少女。
竜の巣。父親だけがたどりついた伝説。
トロッコ機関車での息詰まるチェイス。洞窟で食べるエッグトースト。
空中海賊。昔は美少女だったが、今は片鱗もない肝っ玉ばあさん。腐れ縁のメカニックじじい。荒っぽいがナイーブな男たち。
幼い頃に母から聞いたおまじない。
ゴリアテ砦での決死の救出。「姫」をめぐるパズーとロボットの一瞬の意志疎通。
大鍋で煮込んだシチュー。見張り台で一緒にくるまった毛布。
父の幻と共に拓けていく雷の回廊。インドラの光。
人は土から離れて生きてはいけない。たった一言の滅びの呪文。
何もかもが輝いて見える日本のアニメーションの金字塔。それがラピュタ。
宮崎駿のアニメーションの本質は、とにかく動きは気持ちいいこと。
そしてストーリー外(画面に描かれてない部分)がしっかりしているから、いろんなことを想像させてくれる。
『未来少年コナン』が特に顕著で、いろいろ細部を想像させてくれるし、別の場所ではどんな事件が起きてるだろうとワクワクもさせてくれる。
ちょっとしたアイデアも秀逸で、たとえばインダストリアの地下が海に沈んでしまったとき、コナンたちがトロッコを逆さにして空気をため、3人で担ぐようにして頭を空気に突っ込んで海中を歩くシーンがある(第22話「救出」)。
こんなのを少年時代に観てしまったら、ワクワクするなというのが無理だろう。
これは職人技でもあるが、天性によるものが大きいと思う。ハヤオ以外の監督作品は絵柄が同じなのに全体がもっさりしてる。
ストーリーもちょっと普通じゃない。コンセプトだけあって、基本的に行き当たりばったり。あまり構造になっていない。
でも1つ1つのエピソードが異常に楽しいから最後まで持って行かれてしまう。
(ラピュタで言うと、普通ならパズーの成長物語にするはずなのにパズーは最初から最後まで特に変化しない。亡き父親の話も大した伏線ではない。クライマックスがラストじゃなく、中盤のゴリアテ砦でのシータ救出になってしまっている)
これは天才だからとしか言いようがない。
実際、ラピュタのストーリーをいじって完成度が現状より上がるかと言われると、絶対にどこもいじるなと言いたくなる。まさに天才の仕事。
なので確かに感動するとは思うんだけど、じゃあどこに感動したんだと言われると、「えーっと、俺はどこに感動したんだっけ」となる。
最後のおみやげものコーナーで買ってしまった。
昔はこんなの興味なかったのに、どんどん「かわいいもの」に傾いている自分を感じる……。
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