相撲の女人禁制にロジックはあるか

相撲の女人禁制にロジックはあるか

「下りなさい」相撲協会員、口頭でも直接指示 心臓マッサージの女性は看護師「いたたまれず、とっさに…」(2018/4/5)

https://www.sankei.com/west/news/180405/wst1804050097-n1.html

たとえば女人禁制の男山というものがある。
これは「女には危険だから(それくらい厳しいので男の修業の場となる)」といった、一定のロジックがある。

他にもイスラムには複数妻帯という制度がある。
これは、男が殺し合いばかりして未亡人だらけになるため、複数の妻子を平等に愛せよという社会政策だった。

これらに対し、ほぼ明治に入って成立した相撲で、土俵の女人禁制を裏付けるロジックが不勉強なためよく理解できていない。
取り組みが力士による奉納神事なのであれば、土俵作りなどの準備時はともかく、神事として開始された場で引退した親方であろうと土俵に上がることは許されないのではないのか。
他にも断髪式というものがあるが、神聖な場をゴザで汚し、土足で踏み荒らすことは良いのか。

というのも、史料に見える最古の相撲は女相撲(日本書紀)である。
しかも昭和11年まで女相撲があった証拠もある。
明治以降に禁止されたのは女が上半身裸で相撲すること。
だから相撲の女人禁制が伝統だというなら、それははっきり虚構と言わざるを得ない。

この場合の「最古」とは「相撲という言葉が出て来る最古」であって「発祥」ではない。
相撲の発祥は、11代垂仁紀にある当間蹴速とされる。
そして「相撲」という言葉が初めて出るのは21代雄略紀で、采女による相撲があったと書かれている。

明治期に女性を神事において排除する発想が出てくるのは、日本社会の近代化の過程で、裸女相撲が禁止されてからの流れだろうと思う。
そもそも勧進相撲の興行場所が神社だったというだけで、相撲=神事ということすら間違いという人もいる。

ただし「相撲」は昔から全国で勝手にやっていたわけで、統一された意思の元に興業していたわけではないだろう。
日本相撲協会が主張しているのは、ある種の「教義」と考えれば納得は行く。