映画ドラえもん のび太の新恐竜

映画ドラえもん のび太の新恐竜

子供と『映画ドラえもん のび太の新恐竜』を観てきた。
てっきりドラえもん映画第1作「のび太の恐竜」のリメイクかと思ったらそうでなく、別ストーリーの「リブート」だった。
つまり全く新しい「新恐竜」の物語であって、「新・のび太の恐竜」ではない、という意味だ。
 
現在と白亜紀・ジュラ紀を時空移動するいつものご一行であるが、ちゃんと気温や酸素濃度の違いに言及してあり、ひみつ道具で生存環境の違いをクリアしていたのは良かった。
(現在の人類が恐竜の時代に降り立った場合、酸素が濃すぎて生存できない。ただ物語前半、恐竜を現在世界で孵化させている矛盾の放置は気になった)
小学館にとってドラえもんはもちろんだが、恐竜も一大コンテンツであり、次々に登場する恐竜の姿はここ数十年のデータ蓄積が活かされているな、という気もした。
 
ただ子供の頃はなんとも思わなかっただろうが、大人の視線で観ると全般的に「のび太の無責任さ」がなかなか際立っている。
なにせ本作のクライマックスでは、ユカタン半島に隕石が落下するディープインパクトで、地球を破局的な地殻津波が襲うのである。
この大事態を「なんとかしてよドラえもん!」なのだから困ったものだ。まあ、なんとかするんだけど(笑)。
 
後半、いろんな伏線が次々にハマっていくのは見事で、私の中の「子供心」は満足したが、「大人心」では「それで本当にいいのかなー?」と思ってしまう展開だった。
つまり子供に見せる夏休み映画としてはよくできている。
 
今、ハリウッド映画では「観客は5分以上の退屈には耐えられない」という経験則から、5分に1回の割合で事件が起きるように作られている。
ドラえもんが大好きな子供なんて、もっと短気で移り気であろう。
そのため本作では事件が5分どころか、1分に1回くらい起きる。
付き添う大人としては「子供が飽きなくていいが、せわしないのう」という感じであった。
 
主題歌はMr.Children。
私はこれまで、ミスチルの歌を悪いと思ったことは一度もない。しかしドラえもん映画で「ここぞ」というシーンに流れる歌声としてはこの上なくウザかった。
子供のための映画なのに、いつもの字余り歌詞のせいで何を歌っているのか聞き取れない。
途切れ途切れに聞こえる内容からは、子供たちではなく、これまたいつもの「働く若者(あるいは中年)」へのメッセージソングに聞こえる。
ただ、断片的に「恐竜っぽい」キーワードを入れることで、本作の主題歌として使え、通常のシングルとしても違和感なし……という「ズル」をしている歌としか感じられなかった。
もちろんファンには十分に受け入れられる歌だと思う。
しかし本作はただのドラえもん映画ではない。ドラえもん誕生50周年を記念する作品である。
その主題歌がこれか……?と思うと、なんとも残念な気持ちにさせられたのであった。

映画公式サイト
https://doraeiga.com/2020/index_pc.html