『シン・ゴジラ』をレイトショーで観賞。
怪獣プロレスを期待する人には全く向かない。
ただしゴジラによる圧倒的破壊描写は激アツ。最初に蒲田から上陸して品川に向かって北上するシーンも、陸海空全自衛隊による多摩川絶対防衛ラインも、東京駅での無人車輌による集中攻撃も手に汗握った。
で、怪獣パートも良かったけど、人間パートも凄く良かった。
本作の主眼にあるのは「人知を超えた大災害に、私たちの社会はどう立ち向かうのか」であり、自分的には最高だった。
終盤からエンドタイトルまで、正体不明の涙を流してたくらい。
福島で警戒地域や原発敷地内に入った時のことを非常に強く思い起こしたし、過去の仕事で会ってきた自衛隊や政治家の人たちの顔も何度も思いだしてしまった。
つまり自分としては「相当リアルに感じた」ということになる。
ゴジラの恐ろしさは最高峰で、観てるだけで震えるほど怖い。
そして国連多国籍軍による東京核攻撃がカウントダウンに入ったところで、現実の政治というものにいろいろ思いを馳せてしまった。
最後のヤシオリ作戦は、「そんなうまいことゴクゴク飲むかね?」とは思ったけど(ヤシオリとは、スサノオがヤマタノオロチに飲ませた酒の名前)、前半「現在の立憲法制の制約内で、現代の科学力の範囲内で何ができるか」というサスペンスをしっかり描いたおかげで、「こまけえことは気にすんな!」と思える熱量を維持していた。
しかし、座席後方にいた小さい子ども(レイトショーなのに……)が、ずっとお父さんに質問を連発して「面白くな〜い」と文句を言っていた。
うん。それはしょうがない。後半は怪獣映画じゃなくてほとんどプロジェクトXだしね。
演者は石原さとみと市川実日子(演出がまんまアスカとレイ)が、現実と虚構の狭間にいる人って感じで良かった。
心が落ち着いたらもう一回観ようかなと思えました。
ちなみに本作を「エヴァっぽい」という人が多いようで、それは確かにその通りなんだけれども、自分的にはエヴァというよりはこれは『風の谷のナウシカ』の巨神兵だなと。
なので庵野監督におかれては、『エヴァンゲリオン』の続編なんかほっといて、この調子で、長年庵野監督が宮崎駿御大に願い出続けているという『クシャナ戦記』の制作を進めてもらいたい。
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