観てきました『この世界の片隅に』

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観たいなあ、観たいなあと思いつつ時間がなく、ようやくにして、シネリーブルで『この世界の片隅に』を観てきました。

konosekai.jp
これは『シン・ゴジラ』みたいに「ここがよかった、あれが面白かった」といったことが言えない。
本当は言えるんだけれども、下手に言うとこの作品を安く売ったみたいな気になってしまう。それでもって、感動もした。感動したんだけれども、「泣けました!」みたいな安易なことは、やっぱり言いたくない。
 
というか本作、冒頭から、
「泣いてしまえば感覚が鈍る。この作品は最後まで冷静に受け止めねばならんタイプの映画だ」
という確信に満ちており、謎の使命感に駆られて観る2時間となった。
 
物語の基本描写は悲劇ではなく笑いに満ちている。それでいて全体を貫く胸をしめつけられるような感じ。
まず徹底的な下調べによる表現が、「この時代の人はこうだったんだなあ」と思わせる。
それが絵となって動くところに、アニメーションとしての根本的な多幸感がある。

◎とにかく微に入り細にわたる時代考証
◎深い感情移入を誘うキャラ立ち。
◎戦争賛美とか反戦などといった思想性に流されない強固な物語の力。
これらが揃ってるから、観客は心を作品世界に持って行かれてしまう。
 
周囲から鼻をすする声や嗚咽がたくさん聞こえてきて、「あ、これはヤバイな」と思い、さらなる我慢を自分に課したのだが、最後の30分、原作未読のために全く予想外の、あまりの展開に耐えきれなくなり、もうどうでもいいやと思って完全に泣きながら観てしまった。
 
予告編では全く内容の予想がつかない映画でした。