スコセッシ『沈黙 サイレンス』
- 2017.02.16
- レビュー
観たのは『沈黙』。いやー、良かった。
まず音。BGMがほとんどなくて、自然の音の響きが非常に良かった。
これまで自分の中で「音ベスト」は『ノーカントリー』だったが、本作をベスト1に差し替えても良いと考えている(何様だ)。
お話としては、主人公ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)は、しばしば自らの苦しみをキリストの苦難になぞらえる。
となると、キチジロウ(窪塚洋介)はユダなのかな。
しかし偶然なのか意図的なのか、ロドリゴが何度も思い浮かべるキリストの聖画と、キチジロウ演ずる窪塚洋介のルックスが似てる。またキチジロウはある意味無垢な人、「善悪を超えた聖なる存在」であり、ロドリゴに挑戦する神の試練そのものにも見えた。
これに対して「人間の複雑さ」を表現するのが、弾圧側である筑後守を演じるイッセー尾形と通辞の浅野忠信。
2人が各所で見せる表情がすんごい良かった。
特に筑後守は、元はキリシタンだったのでは?
かつて学生運動に燃えた過激な闘士だった男が、後に最も苛烈な生活指導教師になるような感じを受けた。
またロドリゴの旅の目的は、日本で足跡が途絶えたフェレイラ神父の行方を探すことなんだけれども、これを演じるのがリーアム・ニーソン。
この人の魅力は「強そうだが、同時に情けない」感じ。
これがロドリゴを前にしたフェレイラの「気まずさ」にぴったり合ってたな。
とりあえず観た当日としては、そんなとこ。
傑作、だと思いました。
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