乳幼児連れのパリ旅行2(出発)
5月1日の夜21時頃、関西国際空港に到着。
GW中だけあって人がいっぱい。考えてみればハイシーズンの旅行なんて経験がなく、「ゴールデンウィークの空港」を見るのは生まれて初めて。
しかし下の子の座席を買わずにすむ(抱っこしていないといけないが)2才の誕生日より前であること、上の子はもう小学生だから幼稚園の頃ほどスケジュールが自由ではないこと。
そういう諸々を組み合わせた結果、「GWに海外旅行」というおそろしい結論に収束してしまったのだった。
しかし! 妻が半年以上前から注意深く宿泊と飛行機をサーチしていた。
2018年末から2019年初頭にかけては、まだ天皇陛下のご即位にあたり、改元日の5月1日は特例法で祝日となるかどうか、そしてゴールデンウィークが一体何連休になるのか、いずれも不明だった。
そのため半年以上前の時点では、後に明らかとなる2019年のGW10連休は、誰にも分からない状況だったのである。そのため5月1日出発便がゴールデンウィーク設定ではなく通常シーズン設定であり、とてもお得なのだった。
さて関空である。
私たちの乗る便では、フィンランド航空のチケットカウンターが開くのが22:25となっていた。
それより早めに来ていたので、とりあえず外貨両替に行く。カードがあるから大丈夫とは思うものの、現金なしというもの心もとない。
約1万円分を75ユーロに替えた(レート128.5円で計9,637円)。
で、ぶらぶらして10時25分にカウンターに行ったら、既に長蛇の列。フィンランド航空では、追加で6,000円を払えばバシネット席を予約できるらしい。
しかし下の子はもうすぐ2才。バシネットからはみ出すくらいの身長になっている。おとなしく乗ってくれるとは限らない。
ということで事前予約はしていなかった。
うわー、しまったなー、と思いながら並ぶ。
ところが22:45になってもカウンターは真っ暗。係員が誰も来ない。
どうしたんだろうね、などと話していたら列の2人ほど前にいた男性が「乳幼児連れでしたら、たぶんどの航空会社でも優先カウンターが使えるんじゃないですか?」とのこと。
でも、喜び勇んで優先カウンターに並んで「ここではダメですよ」なんて言われたら、さらに長くなってきている列に並び直すことになる。
どうしよう、どうしようと思っていると、22:50。ようやく係員がやってきた。
「私たちは優先カウンターに並んでいいでしょうか?」
と聞いたら、「たぶん……いいと思いますが……」みたいな答え。
要領を得ないが、列を離れて優先カウンターに並んだ。やっぱりダメとか言われたら困るなーと思いながら。
で、待つ。全然進まない。
優先カウンターには既に数組が並んでいたが、そのひとりひとりにものすごく時間がかかっている。
並んだのは6~7番目だったが、23:30頃にようやく自分たちの番となった。当然通常列も同じペースで進んでいる。間に合うのだろうか。
そして手続きしてもらって分かったのが、いろいろ向こうから質問してくれて、それに合わせて融通を利かせようとしてくれる。
なるほどなあ、ありがたいけどこりゃ時間かかるな、と思ったのであった。
結局、00:45の搭乗開始に対し、全乗客が出発ロビーまでやってこれたのがまさに00:45頃。これは逆に、一種の職人芸なのかもしれない。
で、ついに搭乗。
ここから約10時間に及ぶ、満席の狭いエコノミー席で体重10キロ弱のむずがる子供を抱いて眠らせるという難行苦行が始まった。
上の子にはKindleで「きかんしゃトーマス」や「おさるのジョージ」の動画を見せることにした。
上の子は、普段好き放題には見せていない反動で、「ホント?やったーっ!」とテンションが上がっていた。
子ども用ヘッドホンも用意してあるし完璧。ということで視聴開始……するにはしたのだが、いざ見始めると早々に飽きてしまったらしく、結局彼は座席モニターに映される「この飛行機の現在位置」ばかり見ていた。
彼にとっては生まれて2度目の海外旅行なのだが、前回は幼すぎて記憶がない。つまり実質今回が初めてなのである。いつもと違って見放題の動画よりも、憧れの飛行機の方が楽しいということだろう。ま、こんなものか……。
さて、下の子。
空港でギリギリまで遊ばせ、機内ではぐっすり眠ってもらう作戦をとった。
それでも狭い機内、気圧の変化、いっぱいの人。普段とはあまりにも環境が異なり、なかなか眠ってはくれなかった。
たまに目覚める子どもの気をまぎらわせるのに、何度かジュースをもらおうとアテンダントさんの溜まり場みたいなところに行く。
するとCAさんたちはスマホをいじりながら(でもにこやかに)、「そこにあるから自由に取ればいいじゃん」みたいな感じであった。日本の航空会社とはひと味違うというか、こちらも気楽におかわりできて良かった。
しかし上の子にとって「楽しみにしていた飛行機」が、いきなりこんなハイレベルで良かったのだろうか。
嫌な記憶になってなければいいのだが……。
そうだ、フィンランド航空は2才未満(つまり座席がない)子どもに出す食事というものは特にない。これは意外と珍しいので注意だろう。用意して持ち込んでおかないといけない。
そして関西国際空港から出発して10時間。
やっと乗り継ぎ地点であるフィンランド・ヘルシンキのヴァンター空港(Helsinki-Vantaa Terminaali)に到着。
もし飛行機が乗り継ぎ時間に間に合わない場合は、自分で手配しないといけないと聞いていたが無事間に合ってよかった。
ただヴァンター空港はいろんなところに「小さな空港」と書いてあったのだが、指定のゲート12まで遠い遠い。歩いても歩いても全然たどりつかない。
こちとら空港の基準が、近所にある神戸空港なのである。
神戸空港なんてターミナルの端から端までじっくりあるいても10分もかからないであろう。狭さの基準が異なるのである。
結局、いろんな手続きもあってテコテコ歩いてたらあまり余裕のない時間になっていた。
予定では5:30にヴァンター空港について7:05に乗り継ぎ出発、となっていたのだが、実際は7:35発に遅延したのが逆に助かった。それでもさほど余裕はなかったくらいである。
チケットの手配によっては乗り継ぎ45分という可能性もあった。そちらを選ばなくて本当に良かった……。
もし乗り継ぎに間に合わなかった場合、フィンランド航空が代替便を用意すると聞いていた。
だが、実際にそうした場面に遭遇した人の話によると、案内通りに移動したのに飛行機なんてなかったとか、大行列でいつの飛行機に乗れるか分からないとか、とにかく恐ろしい話をいろいろ聞かされていた。
念のため、そうしたトラブルにも対応が早いというフィンランド航空の専用アプリをスマホにインストールしてログインテストもしていたのだが、現地に着いてみると全くログインできなかった。IDもパスワードも正しいのにエラー。
一応アプリへのリンクを貼っておきます。
これを使うしかない状況になっていたら、どうなっていたのだろう。
身震いするしかない。
それはさておき、私にとっても生まれて初めての北欧。
ただ到着が早朝6時前だったため、免税店は半分ほどしか開いていない。
といっても関空だったらほぼ「シャッター街」状態なのに比べて、ヴァンター空港は案外開いているお店が多い。マリメッコなども開いていた。
しかし初日、まだ目的地にもついていないのに荷物を増やすのもなあ、と思って買うのはあきらめた。
ただし買うときには、航空券がないと免税措置を取ってくれない。お買い物をされる場合はチケットをカバンの奥深くにしまいこんだりせず、財布とセットで持つようにしておくといいのかなと思う。
その後乗り継ぎ便に乗り、現地時間の朝10時頃、シャルル・ド・ゴール空港に到着。
しかし預けた荷物の1つがロストバゲージ……。中身は下の子の食糧……。
何せまだ乳児である。現地のものを食べてくれるかどうか分からないのだ。そのためカバンひとつをまるまる離乳食で満載していたのだが、それがない。
からっぽになってぐるぐる回るコンベアを見ながら呆然とする私たち。
ついにあきらめて、横にあるカウンターでロストバゲージしていることを伝える。カウンターには専用の用紙があり、自分たちの宿泊先の住所と電話番号を書き、発見したら送ってもらえるよう頼んだ。
ここで注意すべきは、今回私たちの宿泊先はホテルではなくアパルトマンだということだ。
もしアパルトマン自体の電話番号を伝えてしまったら、自分でその電話を受けなければならなくなる。フランス語なんてできないのに電話で会話などできるわけがない。そこでアパルトマンを管理する会社の電話番号を書いておいた。これは後に大正解だった。
ここで得た教訓は、ロストバゲージに備えて「宿泊先(連絡先)の住所、電話番号、荷物の特徴・色」などを英語で書けるようにしておくと良い、ということである。
またシャルル・ド・ゴール空港は世界的にもロストバゲージの多い空港として有名で、対応はなかなか手慣れた感じではあった。
以前観たトム・ハンクス主演の映画『ターミナル』では、空港内部で従業員が荷物を適当に投げて運び、運び切れてない荷物がそこかしこに転がっているシーンがあったが、ああいう感じなんだろうなー……などと想像したのであった。
ここまでで到着から1時間弱は経ってしまっている。
到着ゲートをようやく出て、観光カウンターへ。市内ほとんどの博物館や美術館などに入れる「ミュージアムパス」を人数分買った。
空港内での販売場所についてはここへ。
http://en.parismuseumpass.com/rub-t-points-of-sale-3.htm?cat=6&type=3
気を取り直し、タクシーでパリ市内へ。
(つづく)
総目次
01 0日め(準備)
02 1日め(出発)
03 1日め(シャルル・ド・ゴール空港でロストバゲージ)
04 1日め(買い出し……モノプリ、エリック・カイザーなど)
05 2日め(凱旋門・シャンゼリゼ通り)
06 2日め(セーヌ川散策〜夜のルーヴル)
07 3日め(オルセー美術館)
08 3日め(サント・シャペル)
09 3日め(バトー・ムーシュ)
10 4日め(ラスパイユ)
11 4日め(ヴェルサイユ宮殿)
12 4日め(チュイルリー公園)
13 5日め(シャン・ド・マルス公園、クレール通り)
14 5日め(アンヴァリッド、ソルボンヌ大学)
15 5日め(進化史大陳列館)
16 5日め(サンシュルピス教会〜夜のエッフェル塔)
17 6日め(最終日の買い物)
18 レストランケイ(Restaurant KEI)の話
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